腹腔内臓器の損傷や出血および細菌感染
オスの去勢手術は,それほど難しい手技ではありません。しかし,メスの不妊手術に関しては,開腹して血管の豊富な卵巣と子宮を摘出するかなり複雑なものであり,それほど簡単な手術ではありません。このため,避妊手術時にトラブルを生じる可能性が全くないとは言えません。教科書や文献的に示されている避妊手術時の直接的なトラブルとしては腹腔内臓器や尿管の損傷,あるいは出血などが考えられ,出血に関しては止血異常の存在が潜んでいる場合も考えられます。また,手術器具や術野の消毒が不徹底であったり,不衛生な環境で手術を受けた場合には細菌感染を起こす危険性もあります。このため不妊手術と言えどもそれなりの衛生管理の整った環境で十分に訓練された獣医師が行う必要があります。