井笠動物医療センター 倉敷マスカット通り動物病院

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倉敷マスカット通り動物病院
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※倉敷マスカット通り動物病院・小出動物病院共にお問い合わせの概要はこちらからご確認ください。

不妊手術

性成熟と発情

犬の場合

雄犬

 雄犬は生後7~12カ月齢(個体差があります)で性成熟に達し,繁殖能力を有するようになります。性成熟に達した雄犬では後ろの片足を挙げて排尿するマーキングが認められるようになり,発情した雌犬に対しては強い興味を示すと共に交尾を求めるようになります。雄犬の発情は特に定まった時期はなく発情した雌によって誘発されます。


雌犬

 犬種によって異なりますが雌犬では生後6~12カ月(犬種差や個体差があります)で性成熟に達し,発情が認められるようになります。性成熟に達した雌犬では通常年2回(大型犬では年1回の場合もあります)の発情が認められるようになります。雌犬は発情に関連して陰部からの出血を起こしますがそのメカニズムは人間とは全く異なります。犬の発情期は,発情前期(平均8日),発情期(平均9日),発情後期(約60日),休止期(50~80日)の4つの時期に分かれています。出血が多く認められる時期は発情前期で,この時期の雌犬は交尾を許容しません。その後発情期に入ると交尾を受け入れるようになり妊娠可能となります。犬の妊娠期間は,平均63日です。

猫の場合

雄猫

 雄猫は生後7~12カ月齢(個体差があります)で性成熟に達し,繁殖能力を有するようになります。その後は,特に定まった発情期はなく,発情した雌に誘われて,発情します。発情中の雄猫は,しばしば異常な鳴き声を出したり,縄張りを誇示するためのマーキング(尿スプレー)を行うようになります。雄猫のマーキングは独特の悪臭を放ち,屋内飼育の場合には大きな問題となります。また,屋外飼育の場合には,発情した雄猫は放浪したり,雄同士のケンカに巻き込まれるなどの問題が頻発します。ケンカによって受けた咬傷は化膿しやすいだけでなく,猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルス(エイズウイルス)の感染につながることが少なくありません。また,ケンカ中に高所から転落したり交通事故に遭遇し,大けがを負ったり,不幸にして死亡するケースも多々あります。


雌猫

 雌猫は生後5~9カ月齢(個体差があります)で性成熟に達し,発情が認められるようになります。猫の発情周期に関しては,季節周期性とする説と日照時間に関連しているとする説がありますが,不明な点も多く,少なくとも環境要因によって変化することが知られています。多くの場合,発情期は年4回程度で2~4月頃が最大のピークで,あとは2~3ヵ月おきくらいに訪れます。しかし,飼い猫の場合は生活環境によっては発情時期はまちまちで年に何回も発情する猫も多くなっているようです。なお,猫では犬のような発情出血はみられず,また犬やヒトが「自然排卵」であるのに対し,猫では「交尾排卵」となります。このため,交尾刺激がないと排卵は誘発されないため,2~3週間の周期で数日間の発情を繰り返します。交尾刺激があると排卵が起こり発情期は終了します。発情中の雌猫は,食欲が低下するとともに,異常な声で鳴き,落ち着きがなく周囲のものに体をすりつけたり,おしりを高く上げたりする独特のポーズを行うようになります。また,排尿回数が増えたり,陰部をよく舐めたりもします。猫の妊娠期間は犬と同様に2カ月前後ですが,猫の場合は出産後にはまたすぐ次の発情が起こります。このため,犬と異なり年に最高5回の出産を行うことも可能であり,不妊手術を受けていない場合にはわずかな間に大家族になってしまうことも少なくありません。

不妊手術とその方法

 犬猫で行われる不妊手術は,生殖器である精巣(雄の場合)や卵巣(雌の場合)そのものを外科手術によって取り除き,中性化することで永久的に発情や生殖能力を抑制するものです。

雄の去勢手術

 雄の不妊手術を去勢手術と呼びます。陰嚢内にある2つの精巣(睾丸)を外科的に摘出します。ヒトでは男性の不妊手術としてパイプカットとよばれる精管を切断する方法が一般的ですが,動物では不妊よりも発情そのものを抑制することが重要であるためにお奨めできません。

 雄犬の去勢手術法の詳細(注意:手術写真あり)はこちらをクリックするとご覧になれます。

雌の避妊手術

 雌の不妊手術を避妊手術と呼びます。避妊手術には,いくつかの方法があり,卵巣摘出術または卵巣子宮全摘出術が一般的で当院では後者の方法を行っています。これ以外にも卵管結紮術や子宮摘出術など卵巣を残す手術法も理論上はありますが,雄のパイプカットの場合と同様に不妊だけが目的となるため,特別な理由がない限り推奨されません。また,ホルモン剤を投与することで犬の発情を抑制する薬がありますますが,一時的に発情を抑えるのには有効ですが,長期的な不妊目的には副作用の問題が多くお勧めしておりません。

 雌犬の避妊手術法の詳細(注意:手術写真あり)はこちらをクリックするとご覧になれます。

不妊手術のメリット

 一時的な不妊が目的であれば,ホルモン剤注射などによる方法もあります。しかし,永久的な不妊には不向きで副作用の問題も少なくありません。一方,去勢手術や避妊手術は,生涯に一度の手術で永久的かつ確実な不妊が達成できるため,動物を無秩序に増やさないためには最良の方法といえます。

 さらに不妊手術は単に不妊だけが目的ではなく,性的行動を抑制するとともに医学的ならびに行動学的な目的も担っています。手術の危険性や副作用の問題が全くないわけでわありませんが,不妊手術によって得られるメリットの方が圧倒的に高いといえます。


 ・避妊手術は,最も確実な永久的な不妊方法です!
 ・不妊手術は,不妊だけが目的ではありません!
 ・不妊手術には,病気や問題行動を予防する目的があります!
 ・不妊手術を行うことで,寿命が長くなる傾向があります。

雄の去勢手術のメリット

・発情期における精神的ストレスの消失(穏和になりより飼いやすくなります)
・発情期における問題行動の減少(放浪性,攻撃性,マーキング,発情時の鳴き声などが消失または減少します)
・発情に関わるトラブル(ケンカによる外傷や交通事故)の減少
・精巣の病気(精巣炎や腫瘍)が消失
・前立腺の病気(膿瘍,肥大症および腫瘍)を予防
・肛門周囲腺腫や会陰ヘルニアなどの病気を予防
・猫ではケンカや交尾を予防することで猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスの感染率の減少

雌の避妊手術のメリット

・望まない妊娠の不安解消
・発情に関する問題消失(犬では年2回の発情出血の消失,雄が寄って来なくなるなど)や問題行動(猫の発情時の異常な鳴き声など)の消失
・発情や妊娠による精神的ストレスの減少
・乳腺腫瘍の発生率を減少(初回発情前に避妊手術を受けると乳腺腫瘍はほとんど予防可能)
・猫ではケンカや交尾を予防することで猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスの感染率の減少

不妊手術の合併症

 比較的稀ですが以下のようなことが考えられます。
 ・麻酔の危険性
 ・腹腔内臓器の損傷や出血および細菌感染
 ・避妊手術後の腹壁ヘルニア
 ・縫合糸反応性肉芽腫

※上記合併症についてさらに詳細にお知りになりたい方はそれぞれの項目をクリックして下さい。

不妊手術の副作用

肥満

 不妊手術を受けた動物では,発情がなくなることで運動量が減少したり,食欲が安定することから肥満になりやすい傾向があります。また早期に避妊手術をした動物よりも,中高年になって手術を受けた動物の方が肥満になりやすいようです。不妊手術後の肥満を予防するためには,手術時期に注意すると共に,いずれにしてもご家族の方による運動と食事の管理が最も重要です。


脱毛症

 肥満以外の副作用としては,ホルモンのアンバランスにより脱毛症が起こる場合があることが報告されています。しかし,不妊手術後の脱毛症の発現は極めて稀であり,もし起こったとしても治療が可能です。

不妊手術の実施時期

 不妊手術は,いずれの年齢でも実施は可能です。しかし,そのメリットが最大限となり,同時に手術の合併症や副作用を最小限に抑えるためには,以下のような計画的な不妊手術を推奨しています。

雄の去勢手術の実施時期

 去勢手術の時期は犬猫ともに当院では生後6~8ヵ月ごろを推奨しています。

雌の避妊手術の実施時期

 避妊手術の時期は,犬猫ともに当院では生後5~7ヵ月ごろを推奨しています。

※雌犬の場合,発情中および発情直後は,出血が起こり易いため,避妊手術は避けて下さい。

不妊手術の予約と手術時の注意点

・不妊手術は原則として予約制になっております。必ず事前に,電話で予約を入れて下さい。
・手術前日は,早めに食事をすませ,夜9時以降は,食事は与えないで下さい(麻酔中の嘔吐による誤燕を防ぐため)。なお,飲水の制限はありません
・手術当日は,遅くとも,朝11時までにご来院下さい。
(午前中に来院が困難な場合には,午後に預かりして翌日の手術となります。)
・お預かりする際に,手術の手続きをして頂きます。
・入院時に前受金(内金)としてお幾らか入金して頂きます。
・全身麻酔をかけての手術になりますので,血液検査や必要によってエックス線検査 やエコー検査をさせて頂きます。
・混合ワクチンの接種を受けていない場合は,原則として接種させていただきます。
・外部寄生虫(ノミ,マダニ,シラミなの)の寄生が認められた場合には駆除薬を投与させていただきます。
・手術後は,去勢手術・避妊手術ともに1日入院となります。
・お迎えは手術翌日の診察時間内にお願いします。
(手術日翌日が休診日の場合には,退院は翌々日に繰り越されます)
・予約のキャンセルまたは変更がある場合は,必ずご連絡をお願い致します。
・手術当日のキャンセルまたは変更は,準備の都合の関係上,できるだけ早い時間でお願いします。

不妊手術後の注意

・食事は退院後は普段通りで結構です。
・術後2~3日間程度は元気や食欲が普段に比べて減少することがありますが,その状態が長引いたり,食欲や元気が著しくない場合や何か心配な点が認められる場合には早めに連絡して下さい。
・手術部位は特に消毒等は必要ありませんが最低1日1回は確認し,異常があれば連絡して下さい。
・術後1週間は,激しい運動を避けて下さい。
・屋内外自由生活の猫の場合には最低数日間は屋外に出さないことを推奨しています。
・猫の去勢手術以外では手術から7~10日間後に再診と抜糸が必要です。
(当院では猫の去勢手術においては縫合処置を行っていないため抜糸と再診は不要ですが,手術後の注意は同様です)
・シャンプーは抜糸から1週間ぐらい経過するまでは控えて下さい。
・その他の細かな注意については退院時にご確認下さい。

不妊手術の費用

・不妊手術に要する費用は,術前検査,麻酔料金,手術料金,注射料金,処置料金,および入院料金の合計になります。ワクチン未接種の場合には,動物の状態にあわせてご相談させていただきます。
・犬の場合には動物のサイズによって手術料金や入院料金が異なります。
・不妊手術時の入院は通常1泊2日ですが,入院の延長をご希望される場合は別途費用がかかります。
・費用の精算は,その他の入院・手術時と同様に前受金をお預かりし,退院時に精算させて頂きます。
・詳細は受付あるいは電話でお問い合わせ下さい。

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