避妊手術後の腹壁ヘルニア
腹壁ヘルニアとは皮膚の下に腹腔内臓器(主に大網,まれに小腸)が飛び出した状態になるものです。避妊手術では開腹した腹壁を最後に糸で縫合して閉じますが,この時の縫合が適切でなかったり,何らかの原因で腹壁の癒合が遅れたり,癒合不全が生じると腹壁ヘルニアを起こします。縫合糸にはしばらくすると吸収されてなくなってしまう吸収糸と絹糸などの非吸収糸とがあります。腹壁の縫合には通常絹糸か合成の吸収糸を使用しますが,吸収糸を使用の場合には,後述の絹糸アレルギーを防ぐことができる反面,腹壁ヘルニアの危険性が高くなります。縫合部の癒合の遅れや癒合不全は栄養状態が悪い場合に起こりやすく,腹壁ヘルニアを起こした場合にはその整復には再手術が必要となります。