成犬成猫におけるワクチン追加接種
ワクチン接種によって得られた各種感染症に対する免疫(能動免疫)の効果は,永久的なものではなく,時間とともにその効果は減少します。このため,継続して予防効果を期待するためには定期的にワクチンを追加接種して免疫力を高めることが必要となります。ワクチン効果の持続期間は感染症の種類や使用するワクチンの種類によって違いがあるため,追加接種が必要な時期についてもそれぞれの感染症ごとに少しずつ異なります。多価ワクチンを使用している場合,それぞれの感染症に対してすべての効果を期待するのであれば,免疫持続期間が最も短い感染症を基準にして追加接種時期を決める必要があります。現在国内で使用されるほとんどのワクチンについては,使用説明書で年1回の追加接種が推奨されています。
最近,ワクチン接種率が高い海外のペット先進国では,伝染病が減少したことや,毎年多数のワクチン接種(海外では日本にはないその他のワクチンがいくつも使用されています)を行うことで起こりうる副反応(特に猫の注射部位肉腫)の問題などを考慮して,感染症にかかる危険性が低い動物では接種間隔を2~3年に1回とする方法が一般的となりつつあります。日本でも伝染病の少ない地域では同様の方法を行なっている病院も増えています。
ワクチンによる免疫持続期間が1年足らずと最も短く,ヒトにも感染するレプトスピラ症の危険性はある場合(犬)には,メーカーの指示通り,1年に1回の追加接種を推奨しています。
なお,普段は他の犬との接触がない場合や,その地域で感染症の危険性が極めて低い場合でも,利用する動物病院,訓練所,ペットホテルあるいはトリミングルームなどの不特定多数の動物が集まる場所において感染症と遭遇する危険性がある場合には,注意が必要です。