フィラリア症の病態
「相手を生かさず殺さず」といった寄生虫の性質上,フィラリアが感染したからといってすぐに症状を発症するわけではありません。しかし,一度に多数のフィラリアが感染したり,少数でも毎年感染を繰り返すことによって肺動脈内のフィラリアの数が増えてくれば,血液の流れに障害が起こり,徐々に心臓にも負担がかかるようになります。しかも,フィラリアによって肺動脈の血管内膜は傷だらけになり,血栓やさらには死滅したフィラリア虫体が肺動脈の末梢に目詰まりするようになります。この病態が進行すると,肺高血圧症や右心不全を発症し,肝臓や腎臓などのさまざまな臓器障害も認められるようになります。