フィラリア予防薬の副作用
健康動物におけるフィラリア予防薬の安全性は高く,注射薬を除けば重篤な副作用の発現は報告がありません。しかし,すでにフィラリアが感染している犬に予防薬を投薬する場合には,注射薬以外の予防薬でも副作用の発現する危険性があります。副作用の発現は,初回投与時の1週間前後に認められることが多く,一時的な元気食欲の消失や軽度の消化器症状など軽度なものから,後肢のふらつきや中には外科手術が必要となるベナケバシンドローム(VCS,別名;大静脈症候群)を発症する場合もあります。この副作用が発現するメカニズムはよく解っていませんが,多数のフィラリア成虫が寄生している犬や血液中にミクロフィラリアが多数認められる犬においてより高率に現れる傾向があります。このため,フィラリア予防薬を投与する前には,必ず血液検査によりフィラリア感染の有無を調べておく必要があります。また血液検査でフィラリアが感染していることが判明した場合には,さらに心エコー検査などの詳細な検査により詳しい病態を事前に調べておくことで,副作用を予測したり副作用を軽減するための対応が可能となります。いずれにしてもフィラリア予防薬投与後はしばらく注意深く観察し,何らかの異常が認められた場合には病院にご連絡下さい。