蚊の活動時期と予防薬投与時期
蚊は気温が15℃以上になると産卵のため吸血を開始します。近年の温暖化の影響で全国的に蚊の吸血開始時期が昔よりも早まっており,この地域でも,最近では4月初旬~中旬ぐらいから蚊が吸血を開始します。
フィラリア予防薬の投与(注射薬を除く)は,蚊の吸血開始時期から1カ月ほど遅れてスタートし,以後1カ月ごとに投薬します。そして最後は蚊がいなくなってから,さらに1カ月~2カ月後まで投薬することが必要です。
蚊の発生時期と投薬時期に1カ月~2カ月間のズレがあるのには,理由があります。動物に感染したフィラリアの幼虫は,感染して約1カ月後に1回目の脱皮を行い,2カ月後に2回目の脱皮を行います。フィラリアの予防薬が駆除できるフィラリアの幼虫は,1回目の脱皮を終えた感染1カ月~2カ月までのフィラリア幼虫のみです。それ以外の時期の幼虫にはほとんど効果がありません。このため,5月の初めに予防薬を投与することで,3月〜4月に感染したフィラリアの幼虫を駆除することが可能であり,また10月~11月に感染した幼虫に対しては,11月下旬ないしは12月上旬まで投薬が必要になります。